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黄斑円孔


①病態と原因

病態

 読んで字のごとく、物を見るために中心的な役割をする黄斑に孔が開いてしまう病気です。黄斑の中でもさらに真ん中の『中心窩』と言われる錐体細胞(視力に直接影響する細胞)が非常に密に集まった部位に変化が出てしまいます。一般的には60~70代の女性に多いと言われています。経験的には男女差がないように思いますが、年齢的には後述する加齢性変化による硝子体の収縮が原因となりますので、60歳以上の方に多い病気です。
 黄斑に完全に孔が開いてしまうステージ4という分類になりますと、視力も0.1前後まで低下してしまいます。

原因

 黄斑円孔になってしまう原因は、黄斑の前方にある硝子体が原因となります。硝子体とは、眼球内の大部分を占めるゼリー状の組織で眼球形態保持の役割をしています。その外側は硝子体皮質という膜で覆われており、黄斑もこの膜を介して接着しています。硝子体は、加齢性変化で液状化し体積が縮んでいきます。すると、硝子体皮質は黄斑から離れます。これを『後部硝子体剥離』といい、50歳以降の方に起こる生理的な変化です。しかし、硝子体皮質と黄斑の接着が強すぎると、きれいに剥がれず、常に黄斑が硝子体皮質から常に引っぱられるような刺激が起きます。この刺激により、黄斑部が浮き上がり、小さな網膜剥離が生じます(ステージ1)。さらに、刺激が続くと網膜剥離が拡大し円孔を形成し、その上部を硝子体皮質が蓋をするようになります(ステージ2)。視細胞が後退していき円孔が拡大し裂隙も拡がります(ステージ3)。硝子体皮質がさらに収縮し、分離した蓋は硝子体皮質とともに前方に移動します(ステージ4)。

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②症状と治療

症状

 ・視力低下
 ・変視(ゆがんで見える)
 ・中心暗点(真ん中が暗く見える)

治療

 ステージ1では、自然治癒することもありますが、ステージ2以降は、基本的に手術しか治す方法はありません。目薬や飲み薬では治らないのです。手術では、収縮した硝子体を切除し、網膜の表面の薄皮を剥ぐこと(内境界膜剥離)で、黄斑が引っぱられる刺激をなくしてあげます。また、手術中に空気や特殊なガスを眼内に入れた上で、術後はうつ伏せの姿勢をとってもらい、空気の浮力を利用し中心から偏位していた錐体細胞を中心に移動するように作用させることで円孔が閉鎖すると考えられています。

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