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円錐角膜


①病態



 円錐角膜とは、角膜の中央部分の厚みが薄くなり、角膜が前方へ円錐状に飛び出てくる病気です。10代から20代前半に発症する進行性の病気です。何年もかけて進行していくのが通常の経過ですが、まれに数ヶ月の間に進行する場合もあります。角膜の飛び出しが強くなると、デスメ膜と呼ばれる角膜の内側の層が破裂し、角膜内に水が溜まることで角膜中央部が白く濁ってしまう急性水腫という状態になることもあります。この状態になると、急に視力が低下してしまいます。
 多くは30歳前後で進行が止まると言われています。初期には、症状が乏しく乱視と診断されることもあります。また、アトピー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎、ダウン症候群の方は、円錐角膜を合併しやすいと言われています。

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②症状

 初期は、ほとんど症状がありませんが、進行すると角膜のゆがみが大きくなるため、乱視が強くなる、メガネ・コンタクトレンズを使用しても矯正視力が上がらない、ハードコンタクトレンズ装用時の痛みなどを感じるようになります。
 若年者でメガネやコンタクトを使っても視力が上がらない人や急に近視や乱視が進行した人は、円錐角膜が疑われます。



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③治療


 円錐角膜が軽度の場合は、メガネやソフトコンタクトレンズで視力を矯正できますが、進行して不正乱視が増えると、ハードコンタクトレンズ以外では視力矯正が難しくなります。この場合通常よりも大きくて平なハードコンタクトレンズを装用することにより、角膜の突出を抑え、視力を矯正します。このハードコンタクトレンズは、進行を抑える効果もあると言われています。適応としては、突出の程度が軽度~中程度までとなります。また、突出した角膜とコンタクトレンズがこすれて痛みを伴ったり、レンズが外れやすくなったりする場合には、ソフトコンタクトレンズの上にハードコンタクトレンズを装用するピギーバックという方法もあります。

 その他、進行を抑える目的で以下のような手術を行っている施設もあります。

❶角膜クロスリンキング
 角膜にリボフラビン(ビタミンB2)というお薬を点眼し、長波長紫外線を30分間照射することにより、角膜実質のコラーゲン線維の架橋を強くすることで円錐角膜の進行を予防する方法。簡単に言うと角膜を硬く丈夫にして、突出させなくする方法です。


角膜内リング
 角膜内に半円状の2枚のプラスチックのリングを挿入することで、円錐状になった角膜を平坦化させる方法です。

 上記のような治療法を用いても効果のない場合や角膜の菲薄化、角膜中心部の濁り、浮腫といった症状が出ている場合には、『角膜移植』が必要になります。



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